社内外を問わず多くの人が関わるプロジェクト。その中でも、プロジェクト推進をともに行うメンバーの活躍は欠かせません。
その重要性を感じながらも、「新しいプロジェクトを任せられる人材がいない」「手順が決まった定常業務しか任せられない」「ワークエンゲージメント(働きがい)が低い気がする」といった、メンバー育成や自律性について悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
このギャップを埋めるために、どうすればよいのか。本記事は、コパイロツトが2024年7月30日に開催したオンラインセミナー「エンゲージメントと自律性の高いプロジェクト型人材を育成する~プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)という選択肢~」より、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)という方法論をご紹介します。
※同じくPBLと呼ばれる「課題解決型学習(Problem Based Learning)」とは、異なるものです。本記事は、プロジェクト・ベースド・ラーニング(Project-Based Learning、PBL)について、セミナー内容から一部抜粋して解説します。
▼セミナーイベント概要
「エンゲージメントと自律性の高いプロジェクト型人材を育成する ~プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)という選択肢~」
開催日時:2024年7月30日(火)18:30-19:30(オンライン)
株式会社コパイロツト
プロジェクトマネージャー/リサーチャー/インストラクター
東京大学大学院 学際情報学府博士後期課程。
主に社会学(実践理論)・哲学(プラグマティズム)に基づいたプロジェクトマネジメントの理論研究を行っている。総合商社の全社ITプロジェクト、米国財団法人のプログラム運営に携わり、現在はコパイロツトにて様々なプロジェクトの伴走支援を行う。共創型オンラインカレッジ(Project ClimbingChallenge)の企画など、新しい価値を創造するプロジェクトチームのための方法論を探究している。
- Off-JTとOJTの課題点
- コパイロツトが考えるプロジェクト型学習(PBL)とは?
- PBLの導入効果
- 事例① Project Climbing Challenge
- 事例②「新標準プロセス」の策定(エスケイワード様)
- プロジェクト推進に関するお悩みはコパイロットへ
Off-JTとOJTの課題点
新入社員や未経験のメンバーがプロジェクトに参画する場合、どのようにメンバーの育成が行われるでしょうか。通常はOff-JT(座学・研修)やOJT(職場内訓練)が行われます。
合宿や研修などのOff-JTは、基礎事項が習得できるというメリットがありますが、学んだ内容を実践で活かせるかどうかは本人次第となるため、学びを実践につなげることに難しさがあります。
一方で、OJT(On the Job Training)は、実業務に直結する学びが得られますが、習得内容が既存業務に引きずられてしまいます。また、指導が属人的になりがちで、現場の負担も大きくなってしまいます。
Off-JTとOJT、この両方が抱える課題を解決できるのが、PBL(Project Based Learning)です。以下で、詳しくご説明します。
コパイロツトが考えるプロジェクト型学習(PBL)とは?
コパイロツトが考えるプロジェクト型学習(PBL)は、以下の3つの要素で構成されます。
要素② 受講者は、その「プロジェクト」を通して学ぶ
要素③ 学びを通して、学習目標(教員や講師が主導・設定)の達成を促す
あらかじめ設計されたプロジェクトに受講者が参加することで、プロジェクトを推進しながら学びを深めます。最後には、ゴールとなる学習目標を達成するのが、PBLです。
注意したい点は、座学の最後で模擬的なプロジェクトに取り組むものはPBLではないということ。受講生が、最初から最後までプロジェクトに取り組むことが望ましいです。
また取り組むプロジェクトは、練習問題のような架空の内容ではなく、有意義で実践的な課題に向き合います。プロジェクトの最後には、関係者の前でプレゼンテーションを行ったり、実際の現場に適用してフィードバックを受けるなど、通常のプロジェクトと限りなく同じ経験をしていくのです。
図にすると非常にシンプルですが、実際に実施してみるとわかるPBLの難しさがあります。効果的なPBLを構成する要素について、次で具体的に確認しましょう。
【参考】Gold Standard PBL
アメリカのBuck Insitute for Educationが、プロジェクト型学習の「Gold Standard PBL」を策定しています。ここに書かれた7つの要素が効果的なPBLにつながると定義されています。実際の人材育成の場面を思い浮かべながら、参考にしてみてください。
PBLの導入効果
実際のビジネスシーンでPBLを行うと、どのような効果が期待できるのでしょうか?
日々新しい変化が起こり、対応が求められる現代。セミナー当日、八木からは「PBLはOff-JTとOJTに代わる、第三の選択肢」という言葉もありましたが、そんな時代だからこそ、PBLが最適だと考えられます。
PBLを導入することで、Off-JTやOJTに比べて、受講者の主体的な参加やアウトプットの品質向上、さらにはソフトスキルの醸成が期待できます。現場負担がないにも関わらず、限りなく実践的な学びを体験できる点がPBLの特徴です。
最後に、これまでコパイロツトが行ったPBLの事例を、一部ご紹介します。
事例① Project Climbing Challenge
プロジェクトマネジメントに興味のある方を対象に、コパイロツトのプロジェクトマネジメント方法論を習得できる、「Project Climbing Challenge」という取り組みを行いました。
週2時間✕ 8週間の講座形式の取り組みを通して、プロジェクトマネジメント未経験の方も、最後にはご自身でプロジェクトを回せるレベルの知見とノウハウを得ていただくことができました。
事例②「新標準プロセス」の策定(エスケイワード様)
エスケイワード様と、社内プロジェクトを推進するための標準ガイドを策定する取り組みを行いました。実際のコパイロツトのプロジェクト推進方法をエスケイワード様に体験いただいたところが、まさにPBLであると言えます。
プロジェクトの最後には、エスケイワード様主催でセミナーを開催し、新標準プロセスについての発表を行っています。
プロジェクト推進に関するお悩みはコパイロットへ
PBLにおいて、メンバーにとって「意義のあるプロジェクト」をテーマに据えることが不可欠です。なので上記事例は一例に過ぎません。実際は各社の課題や育成方針に従って、テーマや学習目標を議論しながら設計していくべきものだと考えています。
セミナーを担当した八木は、2024年6月にアメリカでPBLの実践者(教師)の集う「PBL World 2024」に参加しました。現地に足を運んで得た最新情報をもとに、今後もプロジェクト推進に関わる情報をお伝えしていきます。プロジェクト推進でお悩みのある方は、ぜひ一度コパイロットへお問い合わせください。
今回のセミナー資料を公開しています。ぜひご覧ください。